去年の夏、僕に信じ難い悪夢が訪れた。
Jリーガーを目指す僕にとって、選手生命を脅かしかねないアキレス腱を痛める怪我をしてしまったのだ。
今年は僕にとって最後の大会になる。
ここで結果を残し、自分の力でプロへの道を切り開くつもりだった。
僕は毎日泣いた。
こんなに涙が出るのかってぐらい、毎日泣いた。
泣きつかれて気付いたら寝てる夜も珍しくなかった。
神様は乗り越えられる試練しか与えないという。
しかし、なぜ今この時期に僕にこんな試練を神は与えるのだろうか。
考えたって答えの出ないこの試練に、僕は絶望していたのだ。
後日、レントゲンの診断結果を聞きに病院へ行った時の事だ。
先生から思わぬ言葉が出た。
「君が本当にプロになりたいなら、次の大会にサッカー人生を賭けると言うのならば、大会に出る方法は無いわけでは無い。」
「教えてください、先生。僕はどんな試練でも乗り越えてみせます。」
「僕が筋金入りの理学療法士を紹介しよう。その先生なら君の大会が始まるまでに調子は治るはずだ。厳しいリハビリになると思うが耐えられるかね?」
そうして僕の厳しい人生初のリハビリが始まった。
介護福祉の主な職場は色々あると聞いていたが、こうした怪我によるリハビリなんかも福祉になると、その時初めて知った。